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AE Ascent DMS AP ~特長と利点を紹介~

2021.09.06(Mon)

ハードウェア(CS)
はじめに

皆様、こんにちはカスタマーサービス部の順番がやって参りました。
今回はアドバンスドエナジー(ADVANCED ENERGY)社製 Ascent DMS APの特長や利点をカスタマーサービス部目線よりご紹介していきたいと思います。


Ascent DMS APとは?

Ascent DMS AP15 / AP30 (Advanced Pulsing Dual Magnetron Sputtering)とは、MF(AC)電源よりも優れたArc検知を有したデュアルマグネトロンスパッタリング用のDC及びバイポーラパルス電源になります。これにより、フィルム特性に精密なチューニングを可能とし、可変周波と可変デューティーサイクルや、必要に応じたユニット拡張(電力のスケールアップ)が可能な製品になります。

バイポーラパルスとACの違いとは?

バイポーラパルス電源とAC電源は、出力電圧波形が異なり、バイポーラパルス電源が矩形波、
AC電源がサイン波である特長があります。
サイン波の場合、電圧が常に変動するためArc検知が困難であり、電流でArc検出するため、Arc検出時間が長いとされますが、バイポーラパルス電源はプロセス電圧が一定となる為、電圧でのArc検出が可能となり、電流検出と比較して早い検出を可能にしています。
Ascent DMS APの場合、MF電源(PEII)と比較すると、アーク検出が約10分の1以下(<1us)の時間で可能となり、
短い時間の検出によりアークエネルギーも10分の1以下(<0.5Mj/kW)に抑えられています。

しかしながら、バイポーラパルスは周期的な電位反転をする際、動作周波数よりも高い周波数の電圧と電流変化(リンギング)が生まれる特長があり、この大きなリンギング電圧によりアークを発生させてしまうこともある上、リンギングの電圧変化の大きさによってアーク検出ができないことがあります。
この為、リンギングの振幅や時間が大きいほどアークによる成膜へのリスクが高まります。
逆を言えば、「リンギングが少なく安定したスパッタ電圧の時間が長いほど、アークによるリスクが少ない安定した成膜を可能する」と言えます。

Ascent DMS APと競合社製バイポーラ電源との違いは?

AE社製Ascent DMS APと競合社製バイポーラ電源では、電位変化時のリンギングに差がみられます。
Ascent DMS APよりも競合社製バイポーラ電源の方がリンギング電圧、電流が大きく、時間も長いとされています。     ※詳しくは弊社営業またはカスタマーサービスへお問い合わせください。

アークハンドリングへの影響について

前述の通り、リンギング間は電圧変化が激しく電圧でのアークの検知ができません。
この為、リンギングの振幅や時間が大きいほどアークによる成膜へのリスク高まります。
同条件でAscent DMS APと競合社製バイポーラ電源のArc発生時の動作波形を比較したところ、アークの制御時間に差がみられ、測定できたアークエネルギーは、Ascent DMS AP では0.54mJ/kW、競合社製バイポーラ電源では1mJ/kW以上(弊社計測値)となりました。

動作周波数と出力ケーブル長への影響について

周波数が高いほどリンギングが大きくなり、リンギングの差はバイポーラパルスの設定周波数への影響、また出力ケーブルが長いほど大きくなる為、ケーブル長へも影響します。
透明膜では50kHz、吸収膜では70kHz以上の周波数を印加すると効果が得られるといわれています。
しかしながら、周波数が高く、ケーブルが長くなれば、リンギングによるアークのリスクは増加します。この為、元々のリンギングが大きい電源の場合、周波数を高くすることができません。また、ケーブルも長くできないという問題があります。

専用の出力ケーブル

Ascent DMS APでは、専用の出力ケーブルを用意しています。専用ケーブル(Triaxial)は、同軸ケーブルであり、ツイストケーブル(レオ二ケーブル)よりも容量成分が小さく出力ケーブルによるリンギングを小さく抑えられます。この為、Triaxialケーブルはレオ二ケーブルと比較して、高い周波数に於いてもケーブル長も長くとる事が可能となります。

Triaxialケーブルを使用したAscent DMS APの場合
動作周波数150kHzから100kHzでは30メートル
動作周波数100kHz以下では45メートルまでのケーブルを使用することができます。

メリット(製膜への影響)

Ascent DMS APと競合社製バイポーラ電源と動作比較によれば、リンギングが小さく、電位反転によるアークのリスクが少ない電源と言えます。
これは高い周波数、長いケーブル長での安定した動作を可能にしています。これにより以下のメリットが考えられます。
① レート改善への高電力設定
② 膜質改善への高い周波数設定
③ ケーブル長に縛られない装置の配置、設置

さいごに

Asent DMS APに少しでもご興味ございましたら弊社営業またはカスタマーサービスまでお問い合わせください。
最後までお付き合いありがとうございました。


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